第24回 B2Bマーケティングにおけるファネルモデルの限界:顧客主導の購買タイミングへの適応
- ito4001
- 4月26日
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B2Bマーケティングの世界では、長らく「ファネル」モデルがリード(見込み顧客)を段階的に育成し、最終的に商談へと転換させる基本的な考え方として用いられてきました。「認知」→「興味」→「検討」→「購入」というステップを想定し、ベンダー側のマーケティング施策や営業アプローチによって顧客を次の段階へと進められる、という暗黙の前提が存在します。しかし、筆者の経験上、顧客が必ずしもこのファネル図の通りに行動するとは限りません。むしろ、顧客は自社の都合に合わせて独自のペースで動いており、ベンダー側がどれほど働きかけてもすぐに商談が進展しないケースは少なくありません。実際、筆者が関与した施策においても、オンラインでの情報提供を充実させた結果、見込み顧客が自ら問い合わせを希望するケースが顕著に増加し、その行動パターンに変化が見られました。本稿では、このような視点から従来のファネルモデルに内在する思い込みを再検証し、顧客主導の購買タイミングに対し、マーケターおよび営業担当者はどのように適応すべきかを考察し、常に顧客の動きを捉えるマーケティング戦略について提言します。
ファネルモデルの前提と現実:顧客はベンダーの想定通りには動かない
従来のファネルモデルは、顧客の購買プロセスを一本の直線として捉えがちですが、現実のBtoB購買行動は必ずしもそうではありません。多くの顧客は、ベンダーとの対話を開始する前に、意思決定の大部分を終えているのです。ある調査によれば、BtoB購買担当者の84%が「最初にコンタクトを取ったベンダー」と契約しているという結果が出ています。これは、顧客がベンダーに問い合わせをする時点で、既に情報収集をほぼ完了し、「どのベンダーと契約すべきか」という点についてもほぼ結論を出していることを示唆しています。従来のように、ベンダー主導で顧客を教育し、リードを育成する余地は縮小してきています。

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