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第55回 なぜ営業とマーケはすれ違うのか? 「Opportunity(機会)中心」時代の連携を、行動経済学で設計しなおす
前回(第54回)の記事では、MQLやABMの次のステップとして提唱されている「Opportunity(機会)中心モデル」について解説しました。 Opportunity中心モデルでは、マーケティングは営業と一体化し、「特定の案件(Opportunity)」に紐づく「購買集団(Buying Group)」を共通の単位として、その集団の「投資優先順位(Agenda)」を引き上げる活動を行います。 しかし、実際にBtoBマーケティングに携わる方であれば、営業部門とマーケティング部門の「連携」というテーマに、一度は頭を悩ませたことがあるのではないでしょうか。 「マーケは質の悪いリードばかり渡してくる」 「営業がリードを放置するから、せっかくの機会を逃している」 こうした部門間の摩擦は、個人の能力や意図の問題ではなく、本質的に「システムの設計不全」の問題です。 本記事では、BtoBマーケティングの最前線である「Opportunity(機会)中心マーケティング」を、特に日本の商習慣に合わせて実現するため、なぜ従来のシステムが摩擦を生むのか、そして、どうすれば「
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11月11日読了時間: 1分


第54回 アカウントからオポチュニティへ:顧客のAgendaを動かす「機会中心」マーケティング
長年、BtoBマーケティングは「とにかくリードをたくさん獲得しよう」というMQL中心の考えと、「重要なアカウントに集中しよう」というABM戦略で進化してきました。しかし、両者には共通の課題があります。Salesforce Benの記事では、MQLモデルが個々のリードに焦点を当てすぎるあまり、購買委員会全体の文脈やシグナルを見落とし、メッセージがバラバラになり、セールスサイクルが伸びるなど、六つもの根本問題を抱えていると指摘されています。さらに、ABMモデルも一つのアカウントをまとめて捉えるため、同じ企業内に複数の購買プロジェクトが存在する状況に対応しきれず、リストの変動や営業とマーケティングのミスアラインメントが生じやすいのです。 加えて、現代のバイヤーは自分たちで情報収集する時間が長く、6senseの調査によると購買プロセスの70%を匿名で完結してしまうというデータもあります。つまり、ベンダーが関与できるのは購買検討の終盤。リード数やアカウント数だけを追っても、顧客の心が動かなければ案件は進まないのです。 こうした背景を受け、MQLやABMの次
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11月11日読了時間: 2分


第53回 BtoBマーケティングの次なるフロンティア:行動経済学に基づく顧客獲得とLTV最大化のための戦略的フレームワーク
今回は、「 BtoBマーケティングと行動経済学 」を特集します。かつて「BtoBは理論、BtoCは感情」と区別されていた時代は遠い昔。今や、意思決定を担う購買担当者の多くが、 理屈だけでは動かず、「人間らしい」心理や無意識の影響 を大きく受けているのです。 【なぜBtoBに行動経済学が欠かせないのか】 ハーバード大学の研究によると、人間の意思決定のうち実に 95%が無意識 のうちに行われているそうです。さらにVML社の調査では、 BtoB領域においても購買の66%が感情に左右されている ことが明らかになりました。 これは「 BtoB購買は合理的な企業判断によってのみ行われる 」という通説に、一石を投じる発見です。 購買担当者は、組織の責任を背負う一方で、キャリアや評価も気にかける「 ひとりの人間 」にほかなりません。だからこそ、 「損失回避」「社会的証明」「ナッジ」 といった行動経済学の原則を活用し、 意思決定の心理に寄り添ったアプローチ設計 が、これからのBtoBマーケティングにおいて不可欠となっています。 BtoBマーケティングにおけ
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10月30日読了時間: 4分


第52回 国会のヤジに見た、日本的組織の病理と再生への道
日本初の女性総理大臣として高市早苗氏が所信表明演説を行いました。国家の未来像を語り、国民を鼓舞するその歴史的瞬間。しかし、報道によれば、その重要な演説は心ないヤジによってたびたび中断されました。 高市首相 所信表明演説【全文掲載・ノーカット動画】 | NHKニュース 多くの人が、その光景に深い失望と憤りを覚えたに違いありません。「なぜ、国家の最重要課題を議論する場で、かくも品位のない振る舞いが許されるのか」と。この不愉快な感情は、単に政治家個人の資質の問題にとどまらず、日本の組織が抱える根深い病理を映し出す鏡でもあります。 実は、日本が議会制民主主義の手本とした英国の議会も、ヤジが飛び交う騒々しい場所です。しかし、その「騒々しさ」の質は、日本の国会とは全く異なります。 本稿は、この日英の議会における「ヤジ」の比較を通じて、日本のリーダーたちが自らの組織運営を省みるための重要な示唆を提示するものです。あなたの会社は、建設的な議論を生む「英国議会」か、それとも不毛な対立に終始する「日本国会」か。これは、すべての経営者にとって避けては通れない問いではな
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10月30日読了時間: 2分


第51回 止まったデータベースが成長を止める:BtoB企業に必要な「知の循環」とは
はじめに:データ品質がBtoB成長を左右する デジタルマーケティングがBtoBビジネスの成長に不可欠となった今、MA(マーケティングオートメーション)やABM(アカウントベースドマーケティング)といった高度な手法が注目を集めています。しかし、それらの成果を左右するのは施策の巧拙やツールの機能ではなく、 マーケティングデータベースの質 です。高品質で鮮度の良いデータベースが基盤として運用されていて、はじめて施策の効果測定や改善が可能となり、ビジネスの成果につながります。 この記事をまとめるきっかけとなったのはB2B Agendaの中東さんの記事(下記)です。 「データ品質」という戦略的必須要件【前編】BtoBマーケティング変革のためのフレームワーク マーケティングデータベースは企業の知的資産: BtoB成長を支える基盤 売上貢献を可視化するKPIの源泉 BtoBのマーケティング施策が売上にどう貢献しているかを把握するには、データベースに蓄積された情報を使ってKPI(商談創出率やリード転換率など)を分析することが必要です。データが整っていないと、効果
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10月30日読了時間: 2分


第50回 AIがPLMを現実にする日〜SOFTBANK × ABBロボティクスが示す、「知が循環するモノづくり」の再起動
2025年10月、 ソフトバンクがスイスのABBロボティクス部門を約54億ドルで買収する というニュースが世界を驚かせました。AIと通信を軸に成長してきたソフトバンクが、産業ロボティクスという 現場の最前線 に踏み込んだことで、 「AIがいよいよ物理世界に降りてきた」 との見方が広がっています。 しかし、このニュースの本質は単に「AI×ロボット」ではありません。むしろ、この動きは 製造業が長年夢見てきた「PLM(Product Lifecycle Management)」の再起動 を象徴するものではないでしょうか。 設計から生産、保守に至るまでの知の流れを統合しようとしたPLMは、理念としては正しかったものの、現実にはサイロの壁に阻まれてきました。それがいま、AIによってようやく「動き出す」兆しを見せています。AIがPLMを現実のものにしつつある〜それこそが、この買収の持つ最も深い意味なのです。 第1章: PLMの理想と限界〜なぜ「知の統合」は実現しなかったのか PLM(Product Lifecycle Management)は、2000年代初
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10月30日読了時間: 3分


第49回 あなたのマーケティングは「焼畑農業」になっていないか? 既存顧客という肥沃な大地を耕す5つの方法
前回の記事では、CMOからCEOへのキャリアパスについて報告しました。BtoB企業の経営層におけるマーケティング機能の重要性はかつてないほど高まっており、P&Lへのコミットメント、データ活用力、組織横断のGTM統合力を備えたマーケティングリーダーが次世代のCEO候補として期待される時代が来ています。 現実には、 マーケティングチームの誰もが「MQL(Marketing Qualified Lead)は目標数を達成できそうか?」 という一点に集中する。多くのBtoB企業で、今日も繰り返されている光景ではないでしょうか。 その活動は本当に事業の成長に繋がっているのでしょうか。米国の調査によると、 BtoB企業の80%が依然として新規案件の獲得に偏重しており、顧客の成功と自社の収益を両立させる「レベニューマーケティング」の段階に至っていません 。(BtoBマーケターの成熟度に関するPedowitz Groupの調査結果) 皮肉なことに、BtoBビジネスの収益の60〜70%は、初回契約後に生まれるとされています。私たちは、目の前にあるはずの巨大な金脈に気
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10月30日読了時間: 3分


第48回 CMOからCEOへ: BtoB企業におけるマーケティングリーダーの最新動向
CMOからCEOへの昇格事例と最新統計 近年、CMO(最高マーケティング責任者)からCEOへのキャリアパスが注目されています。2024~2025年の 最新データ によれば、 Fortune 500企業ではCMO職を離れたマーケティング責任者の約10%がCEOに就任 しており、現在ではFortune 500企業CEOの37%がキャリアの中で何らかのマーケティング経験を積んでトップに昇りつめています。この数字はマーケティング畑出身者が経営トップに就くケースが無視できない割合で存在することを示しています。 また業界別に見ると、マーケティング最高責任者(CMO)ポジションの有無や重要性には差が見られます。たとえばFortune 500の中でも BtoB製造業(インダストリアル)はCMOを置く企業の割合が最も低い ものの、2022年以降はマーケティングリーダーを置く企業が5ポイント増加するなど、徐々に増加傾向にあります。一方でハイテク/テレコム業界では最近若干の減少が見られ、ヘルスケアや金融では概ね横ばいとなっています。 さらに調査会社Forresterの
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10月30日読了時間: 2分


第47回 なぜ、まったく違う問題が同じように語られるのか? データセンターとメガソーラーの比較がもたらす誤解
最近、社会的な課題を論じる際に、 「データセンター建設」と「メガソーラー設置」の問題を、まるでセットであるかのように語る風潮 があることに、皆さんはお気づきでしょうか。 先日、ある記事を読んだことがきっかけで、この点について深く考える機会がありました。私たちの社会のデジタル化を支えるデータセンター。その建設が地域で摩擦を生むという話になると、決まって比較対象として、山を切り拓いて建設されるメガソーラーが引き合いに出される。 正直に言って、私はこの論調に強い 違和感 を覚えます。 たしかに、どちらも「大規模な施設」であり、「地域との間で問題が起きることがある」という点では共通しているかもしれません。しかし、その問題の質は全く異なります。 性質の違うものを「問題である」という一点だけで一括りにしてしまうのは、あまりに乱暴な議論 ではないでしょうか。 それは、問題の本質から目をそらし、思考を停止させることにも繋がりかねません。 この記事では、私が感じる違和感の正体を突き詰めるべく、データセンターとメガソーラーの問題がなぜ混同されがちなのかを分析し、両者
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10月30日読了時間: 2分


第46回 【企業研究】 好決算でも株価はなぜ冴えないのか? クリエイティブの巨人Adobe、AIという「好機」と「脅威」の狭間で
先月の記事(下記)でAIがもたらす新時代に関する包括的分析をまとめてみました。テックセクターのクリエイティブ市場をリードするAdobeの状況はどうでしょうか? 2025年テックセクターの構造変革: レイオフのデータとAIがもたらす新時代に関する包括的分析 https://note.com/btobmarketing/n/n485fdba534a0 決算が示す「楽観」と「警戒」の交差点 2025年9月11日、Adobeは市場の期待を上回る好決算を発表しました。第3四半期の売上高は過去最高の59.9億ドルに達し、一株当たり利益も予想を上回っています 。この力強い結果を受け、同社は通期の業績見通しを上方修正。決算のハイライトは、 AI関連の年間経常収益(ARR)が50億ドルを突破した という発表であり、 長年のAIへの投資がようやく具体的な収益として結実し始めたことを市場に強く印象付けるものです 。 しかし、市場の反応は「諸手を挙げての歓迎」とはなりませんでした。株価は時間外取引でわずかに上昇したものの、年初来で20%以上も下落している厳しい状況を
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10月30日読了時間: 2分


第45回 【考察】 建機の電動化はなぜ難しい? 「イノベーションのジレンマ」を超え、「顧客のジョブ」を解決する次の一手
先日、日経ビジネスを読んでいて、非常に興味深い特集記事に目が留まりました。テーマは「日立建機の電動建機が売れていない」。建設機械の巨人である日立建機が、 時代の潮流である「電動化」でなぜ苦戦している のか、そしてその突破口はどこにあるのかを分析した内容でした。 日立建機、電動建機の国内販売まだ1台 顧客に「買っても使えない」懸念 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00155/071500252/ これは他人事ではありません。 「うちの会社も、業界ではそこそこ名が知れている。でも、鳴り物入りで投入した新サービスが、どうも市場に響いていない・・・」 そんな悩みを抱えるBtoBマーケターにとって、この日立建機の事例は、自社の課題を乗り越えるためのヒントになると感じました。そこで今回は、この記事を読み解きながら、私たちBtoBマーケターが明日から使える思考のフレームワークを考えてみたいと思います。 なぜ優良企業ほど新市場で苦戦するのか? おなじみの「イノベーションのジレンマ」 記事によると、日立建機はパワフル
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10月30日読了時間: 2分


第44回 「有機」の次に来るもの。A2ミルクが切り拓く、科学で語る農業マーケティングの新時代
「有機」「オーガニック」「自然派」「グラスフェッド」… スーパーの棚に並ぶ食品のパッケージは、きらびやかな言葉で溢れています。どれも体に良さそうですが、その違いを正確に説明できる人は多くないでしょう。正直なところ、これらの言葉は時として曖昧で、情緒的なイメージに頼っている部分も少なくありません。過去記事では有機砂糖の話題を取り上げたこともあります。 「有機砂糖」という名の物語 〜 不純物に価値を与えるマーケティングの力 https://note.com/btobmarketing/n/n18debb2c8077 しかし今、この「なんとなく体に良さそう」というマーケティングの潮流に、一石を投じる存在が登場しました。それが「A2ミルク」です。最近では東洋経済が話題にしています。 最近よく見る《A2牛乳》は海外で先行普及 「おなかに優しい」理由は、特別な遺伝子を持つ乳牛から搾るため https://toyokeizai.net/articles/-/889836 A2ミルクの価値提案は、情緒的なイメージではありません。それは「 牛が持つ遺伝子の違い」.
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10月30日読了時間: 1分


第43回 ものづくり産業におけるBtoB, BtoBtoC, BtoC構造の再整理レポート
近年、製造業を取り巻くビジネス環境は大きく変革しています。従来は 企業間取引(BtoB)中心で「良いモノを安く早く」提供する請負型・売り切り型モデルが主流 でしたが、マクロ環境の変化により製造業は危機感を募らせています。例えば、カーボンニュートラル対応や半導体不足、国内市場の縮小、消費者ニーズの所有から利用へのシフト(サブスク普及)などが進み、製品のコモディティ化が進行しました。その結果、 単なるモノ提供だけでは差別化が難しくなり、「新たな価値提供」への転換が不可欠 となっています。 こうした背景で、多くの製造業企業は ビジネスモデルの再構築 に乗り出しています。BtoC企業が先行していたサブスクリプションサービスや「コト売り」への取り組みが、BtoB企業にも求められるようになり、 直接消費者と繋がるモデル への関心が高まっています。実際、2019年のForrester調査ではB2B2C型サプライチェーンを採用する企業はわずか21%との報告もありますが、Salesforce社CEOのMarc Benioff氏は「すべてのB2B企業・B2C企業がB
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10月30日読了時間: 2分


第42回 なぜ若者は「ご飯」を「コメ」と呼ぶの? 世代間で違う“当たり前”の背景を徹底解説!
「昨日の夜、何食べた?」「パスタだったから、今日は絶対コメが食べたいんだよね」TV CMからは「コメが止まらん!」 最近、特に若い世代との会話やSNSで、こんな風に 「ご飯」を「コメ」と表現する のを耳にしたことは多くありませんか? 長年...
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8月25日読了時間: 1分


第41回 あなたの顧客はなぜ「買わない」のか? BtoBを支配する『守りの意思決定』という見えざる敵
「なぜ、合理的なはずのBtoBの意思決定は、かくも不合理な結果を招くのか?」 この問いの答えは、価格や機能ではなく、 顧客の心に潜む「失敗への恐怖」と、自分の選択を「正当化」したいという根深い欲求 にあります。 先日公開した noteの記事 では、この「 守りの意思決定...
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8月12日読了時間: 2分


第40回 2025年テックセクターの構造変革:レイオフのデータとAIがもたらす新時代に関する包括的分析
2025年にテックセクターを席巻しているレイオフの波は、その規模の大きさから注目を集めています(参照資料: A comprehensive list of 2025 tech layoffs )。日本経済新聞は、「 米テック、好決算でも9万人削減 AIで高まる技術者選別の荒...
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8月12日読了時間: 2分


第39回 「有機砂糖」という名の物語 〜 不純物に価値を与えるマーケティングの力
「そもそも砂糖って有機物じゃないの?」 そんな素朴な疑問から、この話は始まります。 有機物なのに「有機砂糖」? 砂糖(スクロース)は、炭素・水素・酸素から成る有機化合物。つまり、学術的には砂糖は有機物そのものです。にもかかわらず、「有機砂糖」という商品が堂々とスーパーに並ん...
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8月8日読了時間: 2分


第38回 クラフトビール醸造は、愛と科学が詰まった「中小製造業」だ
先日、友人が新しくオープンしたクラフトビール店を訪れました。最近はこのような小規模ブルワリー(マイクロブルワリー)の開業が各地で増えています。現地で話を聞いてみると クラフトビール醸造は単なる趣味ではなく、まさに中小規模の「製造業」そのものだ と感じました。...
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8月8日読了時間: 1分


第37回 日本の産業別労働生産性の構造分析:一律低下論を超えた戦略的考察
最近、「 日本、IT技術者は2割増えても稼ぎ伸び悩み 労働生産性G7最下位 」という日本経済新聞の記事を目にしました。同記事では、 日本の情報技術産業の労働生産性が2019年からの4年間で13%も低下し、主要7カ国で最大の下落率になった...
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8月8日読了時間: 2分


第36回 【続編・深掘り分析】AutodeskはなぜPTC買収という大博打に打って出るのか? AECの巨人を動かす内外の圧力とは
なぜ今、Autodeskは動くのか? 先日公開した記事「 AutodeskによるPTC買収検討〜製造業DXの未来を変える戦略的大転換か 」には、業界内外から多くの反響をいただきました。この歴史的かもしれないM&A観測について、多くの方が...
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8月8日読了時間: 2分
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