第50回 AIがPLMを現実にする日〜SOFTBANK × ABBロボティクスが示す、「知が循環するモノづくり」の再起動
- ito4001
- 10月30日
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2025年10月、ソフトバンクがスイスのABBロボティクス部門を約54億ドルで買収するというニュースが世界を驚かせました。AIと通信を軸に成長してきたソフトバンクが、産業ロボティクスという現場の最前線に踏み込んだことで、「AIがいよいよ物理世界に降りてきた」との見方が広がっています。
しかし、このニュースの本質は単に「AI×ロボット」ではありません。むしろ、この動きは製造業が長年夢見てきた「PLM(Product Lifecycle Management)」の再起動を象徴するものではないでしょうか。
設計から生産、保守に至るまでの知の流れを統合しようとしたPLMは、理念としては正しかったものの、現実にはサイロの壁に阻まれてきました。それがいま、AIによってようやく「動き出す」兆しを見せています。AIがPLMを現実のものにしつつある〜それこそが、この買収の持つ最も深い意味なのです。
第1章: PLMの理想と限界〜なぜ「知の統合」は実現しなかったのか
PLM(Product Lifecycle Management)は、2000年代初頭に登場した製造業の中核コンセプトです。「製品という知識体系を、設計から保守まで一気通貫で管理する」〜このビジョンは、当時の製造業にとって革新的なものでした。
PLM(Product Lifecycle Management・製品ライフサイクル管理)とは、製品の企画から設計、製造、販売、保守、廃棄に至るまでの全ライフサイクル全体を統合的に管理し、製品開発力と企業競争力を強化する手法またはシステムです。各部門やサプライヤー間で製品情報を一元管理・共有し、業務効率化、品質向上、コスト削減、市場投入期間の短縮などを実現します。 《PLMの主な特徴と目的》
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しかし現実には、次のような壁が存在しました。
設計(CAD/CAE)と製造(MES)のデータ形式や構造の不一致
部門ごとのKPIや業務プロセスが分断され、情報が連動しないこと
ERP・SCM・CRMなど、多様なシステム群がそれぞれ独立稼働していること
その結果、PLMは「理念としての統合」にとどまり、現場では「ツールの寄せ集め」に過ぎませんでした。設計部門のPLM、製造部門のMES、サービス部門のCRM等それぞれが独自に存在し、知識は結合しなかったのです。
PLMは「製品のライフサイクル全体を管理する知の中枢」として構想されましたが、現実の企業はサイロの集合体でした。つまり、「知の一貫性」が欠落したまま20年が過ぎてしまったというのが実情です。
AIの進化は、この長年の課題にようやく現実的な解をもたらしつつあります。
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